歯科業界に関わり18年になります。
前職ではコンサルタントとして、マーケティングや仕組み構築、スタッフ育成を支援してきました。担当した医院の売上は130〜400%に成長し、見学に全国から人が訪れるような医院にも多く関わらせていただきました。
ノウハウには力があります。それは確かです。
ただ、成長するほど顕在化する問題がありました。主力スタッフの疲弊や離職、心を病むドクター、受付が定着しない。見た目はうまくいっているのに、内情は違う。そんな医院をいくつも見てきました。
解決に向けてノウハウを積み上げても、トンネルは抜け出せない。「コンサルタントなのに、なぜ解決できないんだろう」。その無力感が2年ほど続きました。
2015年、偶然出会ったのが哲学者・山本哲士の『ホスピタリティ原論』でした。
読み進めるほどに胸が高まり、雷に打たれたような気分でした。そもそも自分の根本から転換が必要だと気づいたのです。
売上は結果であって、目的ではない
それまでの自分は、良かれと思いながらも「売上を上げる」ことを目的にしていました。成長の先にある問題は、その土台から来ていたのかもしれない。
ホスピタリティとは、単なる接遇やおもてなしではありません。「いつでも・どこでも・誰にでも」という効率化・標準化の世界から、「いま・ここで・この人に」という個別性・関係性の世界への転換です。それは経営の土台を変えることであり、診療も、組織づくりも、医療の質も、すべてに影響を与えるものでした。
それから10年、試行錯誤の日々でした。
正直に言えば、孤独な時期が長かったです。「分かってもらえない」「伝わらない」という感覚がずっとありました。ノウハウ提供型のコンサルティングとは違う道を歩むことは、説明するのも難しく、否定されることもありました。
それでも、少しずつ成果を得る医院が現れ、共感してくださる先生方との縁も広がりました。
そして2024年、大きな変化がありました。同じような志を持つ仲間と出会えたのです。やっていることはそれぞれ違うのに、考えていることは驚くほど同じでした。
その仲間との協働が、今の私の活動の大きな軸になっています。
私は自分を「コンサルタント」とは呼んでいません。「ホスピタリティ開発者」という言葉を使っています。
ノウハウを渡して終わりではなく、その医院に合った「ホスピタリティ」を共に見つけ、育てていく。そんな関わり方をしたいと思っています。
Profile
河合良一
一般社団法人日本歯科ホスピタリティ協会 代表理事
歯科業界18年。前職では歯科医院専門のコンサルタントとして活動。2015年、山本哲士のホスピタリティ理論と出会い、同年11月に日本歯科ホスピタリティ協会を設立。沖縄県在住。