成長をした歯科医院が陥る「罠」とは?

こんにちは。日本歯科ホスピタリティ協会の代表・河合良一です。
いきなり脅すようなタイトルをつけてしまいましたが・・・

これまでの私の歯科医院へのコンサルティング経験を通じて感じるのが、大きく成長して地域で人気の歯医者さんになったあと必ずと行っていいほどハマってしまうポイントがあります。

この記事ではその罠は何なのか。なぜそこにハマってしまうのか。そしてそこから抜け出す方法を2つのポイントに絞ってご紹介したいと思います。


歯科医院の経営強化は格段にやりやすい時代になった

いまの歯科業界にはさまざまな経営理論、マーケティング手法、マネジメント手法が溢れています。オンラインやセミナーなどで非常に多くの情報を手軽に得ることができるようになり「経営を強化しよう!」という院長先生にとっては非常にありがたい時代となりました。
コンサルティング会社やコンサルタントの数も、10年前くらいと比べると格段に増えました。
そして、それらを活用して学び「学びはとは、真似することだ!」と懸命にたくさんの取り組みをモデリング・実践することで業績が向上。
少しずつスタッフ数も増え、良いチーム作りを目指して試行錯誤を繰り返して、その結果右肩上がりの成長期を迎えた歯科医院が全国にたくさんあります。
これを読まれている先生も、そんなプロセスを経てきた方が多いのではないでしょうか。
院長先生が診療室の最前線で治療を行いながら、経営面にも奮闘されている様は並々ならぬ努力の賜物であり、現場で見るその姿には心から感動さえおぼえます。


そこから迎える「ピークアウト」というフェーズ・・・

ごく一部のビジネスが得意な「経営者タイプ」の超やり手の院長先生の方を除いて、多くの歯科医院が成長した後(目安は医業収入1億円~2億円程度)に、いつの間にか医院の成長が停滞したり、やや右肩下がりになってくるという現象が起こります。
これを、「歯科医院経営のピークアウト」と読んでいます。
私が見てきたパターンではいきなり劇的に売上が落ちるというよりも、以下のような現象が多く見られました。


  • 相変わらず予約が入りにくいが業績の伸びが停滞、もしくは右肩下がりに
  • 売上は維持できても幹部・中堅スタッフが次々と退職する
  • いつの間にか、新人が定着しなくなってきた
  • なんとなく医院の雰囲気が重くなってきた
  • 自分のモチベーションに行き詰まりを感じる
  • 次に何を目指せばいいのか分からなくなってきた

ピークアウトを迎えると、院長先生の中で不安が少しずつ大きくなり、日々漠然とした恐怖やストレス、停滞感を抱えながら過ごすことになってしまいます。
個人的なモチベーションの低下に悩まされる方も多くいらっしゃいます。


  • 「業績はそこまで悪くないけど、いつ下がってしまうか不安」
  • 「以前のように成長しないと、この先、どんどん悪くなるのではないか」
  • 「それなりに安定はしているけど、なんだか物足りないし、仕事が面白くない」

そんな風に、業績が落ちていくことでまた資金繰りに悩まされることになるのではないかと想像すると、胸が締め付けられる思いになる方も多いのではないでしょうか。
年齢によっては現状維持で満足したり、ゆるやかに引退へ向かう道もあります。しかし年齢が若かったり、向上心が高い先生ほど、ピークアウトの状態を脱却したいと思うはずです。


多くの方の試行錯誤の方法は効果的ではあるが…

医院が急成長していた時期の「成功体験」から、以前と同じようにスタッフと一緒に経営セミナーに参加したり、最新情報を求めてセミナーや教材を行脚したりすることがあります(その結果、見ていないDVDが山積みになっていたりしませんか?)。
また、モチベーションを高めるために自己啓発セミナーに行ったりした方も多いのではないでしょうか。
これらは、新たな気づきと学びを得ることができて自身の成長に繋がることが多いので、医院経営はもちろん自身の人間的な成長においてもメリットがあることでしょう。
しかし、それでもピークアウトの停滞感から抜け出すことができない場合がほとんどです(抜け出せた先生もいるはずなので、そんな場合にはこの先のない内容は必要ないはずです!)。
ピークアウトを抜け出すために私がオススメするポイントは2つあります。


1つ目のポイントは「成功体験」を手放すこと

どうしても、過去に成功体験があるとそれを繰り返したくなってしまうものです。
例えば、成長期にたくさんの取り組みを実践していた場合には「もっと新しいことを実践すれば、また新鮮な気持ちにもなるし、成長するはずだ!」「セミナーに一緒に参加したらスタッフが成長したから、また同じ経験をしてもらおう」というように、同じパターンを繰り返すようになります。
しかし、もはや医院のステージが変わっているということを踏まえなくてはいけません。そこを客観的に捉えることが、自分自身では難しいものです。
既にたくさんの取り組みをしていてスタッフが疲弊しているかもしれません。開業時のスタッフとは入社時から経験してることが違うため必要な育成方法が異なるかもしれません。若い世代が増えて価値観が少しずつ変わっているのかもしれません。
医療のレベルを上げるべきタイミングなのかもしれません。
もしくは、仕組み化を強化するべきなのか、逆にルールの見直しをするときかもしれません。その医院ごとに、その時に取り組むべきことが変わります。
しかし、難しいのが、自分の医院では何を今のステージで取り組むべきか、医院によって全くこなるため他の医院の事例もどれを参考にしたらいいか分かりにくい点です。
そのため、多くの場合には自分の医院と同じぐらいの業績の先生が行っていることや、最近歯科業界で流行っていることを探し出して始めることが多いように感じます。
それも間違いではありませんが、ぜひ次2つ目のポイントも考えつつ自分の今のすべきことを検討してみてください。


ピークアウト脱却の2つ目のポイントは・・・

それは、あなたにとって「目指したい医院像・あなたがしたい経営」を目指すということです。いわゆる「ビジョン」というものですね(ビジョンについて詳しくはまた別の記事で詳しく書きます。)
ごく当たり前のことを言っているように感じるかもしれませんが、ピークアウトを迎える医院の場合これが「具体的に」なっていない場合がほとんどです。
「具体的」というのはその字のごとく、ありありとイメージできるくらい具体的なものです。
また、それを想像するとワクワク(もしくはドキドキとか)するような心が震えるものです。この「心の震え」がポイントで、何にそう感じるかはあなたにしか分かりません。
医院がある程度成長するまでは、憧れの医院をモデルとして目指す時期、他院やコンサルティング会社に教わった「成功事例」を愚直に実践する時期も大切です。

しかし、それらはあくまで他者がその医院なりに困ったことを解決したくて生み出した事例であり、他者が創りたいと思ってつくった医院です。
もちろん、自分が本当に目指したい方向へ向かうために他院の事例を使うのは非常に良い方法です。ぜひ活用されてください。
自分で「その先にあるものが自分が実現したいものである」と認識をしてワクワクしながら取り組むのと、がむしゃらに人の真似を実践し続けるのとでは、結果も気持ちもプロセスも大きく異なるのです。
もう先生は「モデリング(真似して成果を出す)」だけのステージから抜け出すレベルにまで成長されたのかもしれません。

あなたにとっての成功とはなんでしょうか?
あなたは、どんな歯科医院をつくりたいですか?

自分は「世界に1つ」という視点が大切

「デンタルホスピタリティ®」では、人を「個」で見ることを大切にしています。
これを院長先生に当てはめた場合にいかがでしょう。
そう、あなたの性格や個性、これまでの背景などを考えると、世界のどこにも同じ人はいません。あなたの「成功」は他の先生が実現している「年商●億円」とか「ユニット●台」「分院が●件」というものでしょうか。
多くの先生が「成功」として目指しているものを、あなたも実現することが成功なのでしょうか。
私が思う成功は「自分が成功と思うことが成功」「自分したいことを実現できていたら成功(そのプロセスが楽しければ大成功)」だと思っています。自分の「したいこと」というのは、医療のレベルや家族、スタッフのことなど、あなたに関わるあらゆることを含む、自分が「創りたい世界」のことです。

繰り返しになりますが、「成功事例」はいつまでも知っておくと便利なものです。憧れる対象を持つことも自分の成長を加速させるうえで大切です。しかし、他人の模倣だけではなく、「自分の人生を生きる、自分の経営をする」ということに真剣に目を向けると新たな道が拓けてきます。
当協会を設立した大きな理由の1に、「自費率●%UP!」や「売上●%UP!」を教えてくれる企業はあっても、「ピークアウトの先の世界」へ導くサポートをしている企業が見当たらなかったということがあります。
今後もさまざまな角度からピークアウトを迎えている方、もしくは迎える前に方向転換をしたい方のサポートをしていきます。

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