TCの導入を検討しているけれど、実際に導入した歯科医師は本音ではどう感じているのか——院長先生にとって、同じ立場の声ほど参考になるものはないのではないでしょうか。歯科医師がTC導入について語る本音には、「一人で学びを持ち帰るのは難しかった」「途中からスタッフにも参加してもらうことにした」というリアルな実感がありました。今回は、ホスピタリティTC養成スクールを受講された医療法人仁慈会 太田歯科医院 理事長・太田博見先生に、TC導入の経緯と率直な感想を伺いました。
太田博見先生がTC養成スクールに参加した理由とは
太田先生はこれまでにも、さまざまな勉強会やセミナーに参加されてきたといいます。その経験を持つ先生が、ホスピタリティTC養成スクールへの参加を決めた理由は何だったのでしょうか。
「今回の講座は、単にマニュアルを作って説明の型を覚えるといったレベルのものではなく、自分たちが行っている治療の価値を、患者さんに正しく伝えるための本質的な内容だと感じました」
多くのTCセミナーでは、トークスクリプトや成約率を上げるテクニックが中心になりがちです。太田先生が求めていたのは、そうした表面的なスキルではなく、「なぜ伝えるのか」「何を伝えるべきなのか」という根本的な問いに向き合える場でした。太田先生のように、すでに複数のセミナーを受講してきた院長先生ほど、テクニック中心のアプローチに限界を感じていることは少なくありません。「やり方」だけではなく「あり方」から見直したいという思いが、参加の動機だったようです。
なぜ途中からスタッフにも参加してもらったのか——院長の本音
太田先生は当初、ご自身お一人で受講を始められました。しかし、途中で決断を変えています。
「実際に受講してみて、その内容の深さから『これを自分一人で理解し、医院に持ち帰って伝えるのは難しい』と感じ、途中からスタッフにも参加してもらうことにしました」
この言葉は、多くの院長先生にとって共感できるものではないでしょうか。セミナーで良い学びがあっても、それをスタッフに伝え、日常の診療に落とし込むまでの距離は想像以上に遠いものです。太田先生は、その距離感を率直に認めたうえで、スタッフと「一緒に学ぶ」という選択をされました。
太田先生が受講内容の一部をスタッフに共有したところ、「ぜひ参加してみたい」という声がスタッフ側から上がったそうです。院長が一方的に指示するのではなく、スタッフ自身が「学びたい」と感じて参加する。この流れ自体が、押し付けではなく自発的な意思を尊重するというホスピタリティの考え方と重なります。
POINT
セミナーの学びを院長一人で持ち帰り、医院に浸透させることは容易ではありません。院長とスタッフが同じ場で一緒に学ぶことで、共通の言葉と視点が生まれ、日常の診療に反映しやすくなります。
歯科医師が気づいた「説明すれば伝わる」という思い込み
取材を通じて特に印象的だったのは、太田先生自身の「思い込み」への気づきです。
「良い治療計画を立て、しっかり説明すれば患者さんは理解してくれているはずだ、という思い込みがあったことに気づかされました」
これは多くの歯科医師が無意識に抱えている前提ではないでしょうか。ドクターは日々、最善の治療計画を立てることに全力を尽くしています。その熱意があるからこそ、「きちんと説明した=伝わった」と考えがちです。しかし太田先生は、講座を通じてその構造に気づいたといいます。
「ドクター以外の立場の人が真剣にカウンセリングを行うことで、普段私たちが聞けていなかった患者さんの本音や背景が見えてくること、その重要性を強く実感しました」
「説明した」と「伝わった」は同じではありません。その間にある溝を埋めるのがTCの仕事です。ドクターがどれほど丁寧に説明しても、患者さんには聞きたいことを聞けないまま帰ってしまう場合があります。立場の異なる第三者が間に入ることで、初めて見えてくる患者さんの本音がある——太田先生の言葉は、その事実を歯科医師自身の目線から語ってくれています。
「説明した」と「伝わった」は、同じではない。
TC導入後にスタッフはどう変わったか
TC導入の効果は数字だけでは語れません。太田先生が語ったスタッフの変化は、より本質的なものでした。
「実際に参加したスタッフは、TCという仕事を『自分が一生かけて取り組める専門性』として捉えるようになり、意識や行動に大きな変化が見られました」
単にスキルを身につけたというだけでなく、TCという仕事に対する「捉え方」そのものが変わったという点に注目したいところです。太田先生によれば、現在ではスタッフが他のドクターのカウンセリングにも積極的に立ち会い、少しずつ任せられる場面も増えているとのこと。すでに具体的な成果にもつながっているそうです。
また太田先生は、ホスピタリティの考え方を組織に広げることの難しさについても触れています。「これまで個人的に関心を持ち、自然と実践してきた部分はありましたが、それを他のスタッフやドクターに伝えていくことには難しさを感じていました。今回の講義では、その考え方が非常に整理されており、感覚やセンスに頼らず、誰にでも伝え、実践できる理論として構築されている点が印象的でした」
ホスピタリティは、特定の人だけが持つ才能やセンスではありません。哲学者・山本哲士が体系化した理論に基づくことで、言語化され、共有することができる「技術」になります。だからこそ、院長個人の感覚にとどまらず、スタッフ全体で実践に移すことが可能になる。太田先生の実感は、そのことを裏付けてくれています。
ホスピタリティに関心はあるけれど、「自分がなんとなく感じていること」をスタッフにうまく伝えられない——そんなもどかしさを感じたことはないでしょうか。
まとめ
太田先生のインタビューから見えてきたのは、TC導入を考える歯科医師にとって大切な視点です。マニュアル型のTCと、ホスピタリティを土台にしたTCでは根本的に違うということ。学びを院長一人で抱え込まず、スタッフと一緒に取り組むことで初めて医院に根づくということ。そして、「説明すれば伝わる」という思い込みを手放したとき、患者さんとの関係が変わり始めるということ。太田先生は、「真摯に患者さんのことを考え、高い技術や想いを持っているにもかかわらず、その価値が十分に伝わっていないと感じている医院にとって、非常に意味のある学びの場だと思います」と語ってくださいました。TC導入を検討されている院長先生にとって、同じ立場の歯科医師の声が一つの判断材料になれば幸いです。
FAQ
Q 院長一人で受講しても効果はありますか?
もちろん一人でも学びは得られます。ただ、太田先生のように途中からスタッフと一緒に受講することで、医院全体への浸透がしやすくなったという声は多くあります。講座にはグループ割引もありますので、複数名での参加もご検討ください。
Q TC経験のないスタッフでも受講できますか?
はい。TC未経験の方も多く受講されています。太田先生の医院でも、参加したスタッフはTCとしての経験を積みながら成長し、他のドクターのカウンセリングに積極的に関わるようになったとのことです。
Q ホスピタリティTC養成スクールは他のTCセミナーと何が違いますか?
哲学者・山本哲士のホスピタリティ理論を土台に、現役トップTCが講師を務める実践的な講座です。マニュアルやトークスクリプトを覚えるのではなく、「考え方」から学ぶことで、患者さん一人ひとりへの個別対応ができるTCを育成します。
JDHA 編集部日本歯科ホスピタリティ協会
ホスピタリティTC養成スクールの講座内容や、歯科医院の現場に役立つ情報を発信しています。
※本記事はインタビュー内容を編集部が再構成したものです。個々の医院の状況により成果は異なります。特定の治療効果や経営成果を保証するものではありません。


コメント