ホスピタリティTCスクール第3期 Day2レポート|視座・自律・状態設計/ホスピタリティ初診コンサル

高い視座から街並みを見渡すイメージ:白い地中海の街を俯瞰する風景

ホスピタリティTCスクールのDay2では、どのようなことを学べるのでしょうか。Day2は、河合良一による「自律と他律」「視座」の講座と、森愛による「状態設計」をもとにしたカウンセリング準備の実践講座で構成されています。Day1で触れた「サービスとホスピタリティの違い」という原理を、自分の現場にどう落とし込むか。その橋渡しとなるのがDay2です。本レポートでは、講座の内容と受講者の声をもとに、Day2で何が起こっていたのかをお伝えします。

目次

Day2の全体像──「なぜ」を「どう動くか」に変える1日

Day1では、サービスとホスピタリティの違いという原理に触れ、「自分たちがやっていることは何だったのか」と立ち止まる時間がありました。Day2は、その気づきを「では、自分の現場でどう動くのか」に転換していく1日です。

前半は河合良一による講座。テーマは「ホスピタリティTCへの覚悟と実践」。自律と他律の違い、視座の高さ、そして思考の解像度を上げるワークを通して、TCとしてのあり方を問い直します。後半は森愛による「初診コンサルの基礎講座 実践編」。初診コンサルの目的を「何を聞くか」ではなく「どんな状態を作るか」に再定義し、カウンセリング準備の考え方を実践的に掘り下げます。理論と実践、考え方と動き方──この2つが連動する構成が、Day2の特徴です。

「自律」と「他律」とは?──TCの”OS”を入れ替えるという視点

河合はDay2の冒頭で、AIの急速な進化に触れました。受付の無人化、診断の自動化──サービス型の仕事はAIに代替されていく時代です。では、人間にしかできないこととは何か。河合はその問いに「責任」と「覚悟」を挙げました。AIは「全力でサポートします」と言ってくれるが、結果に責任を負うことはない。人間が責任と覚悟を持って関わるからこそ、ホスピタリティが成立するのだと。

そこから話は「自律と他律」の概念へと進みます。河合はこの違いを、スマートフォンのOS(オペレーティングシステム)に例えました。同じ人間でも、どんなOSが入っているかによって判断も行動もまるで変わる。自律と他律とは、その人の中に入っている「動き方の前提」の違いだと。

他律(HETERONOMY)

判断基準が「自分の外」にある

マニュアル・指示・ルールに従って動く。動機は「せねばならない」。結果がうまくいかなければ「言われた通りにやっただけ」と他責に向かいやすい。

自律(AUTONOMY)

判断基準が「自分の内」にある

自分の意志と納得を起点に動く。動機は「したいからする」。やりたくないことでも、自分で納得して取り組むなら、それは自律的な行為になる。

「やりたくないこともある。でも、自分でこのセミナーをやると決めたし、皆さんにいいものを届けたいから、やるんです」──河合自身のこの言葉が、自律の本質をよく表していました。自律とは「好きなことだけやる」ことではなく、「自分で納得してやる」ということ。命じられたから動くのか、自分の中の軸に照らして動くのか。その一点の違いが、日々の行動の質を根本から変えていきます。

河合がもう1つ強調したのは、他律的な状態では「他責」に陥りやすいという点です。成果が出ない人はほぼ例外なく他責にはまっている、と河合は言い切りました。反対に、自律的な人は結果に対して「自分でできることは何だったか」を考える。たとえ自分の責任範囲でなくても、自分から関わっていこうとする姿勢が、チーム全体を動かしていくのです。

視座を上げる──TCに求められる「チーム全体を見る目」

河合がDay2で時間をかけて伝えたもう1つのテーマが「視座」です。1人称は「自分のことで精一杯」の段階。2人称は「相手からどう見えるか」を意識できる段階。3人称は「自分の言動がチーム全体にどう影響するか」を見渡せる段階。そして4人称以上は、経営や社会といったさらに広い視野を持つ段階です。

河合はTCに対して、「最低でも3人称の視座を持ってほしい」と語りました。TCの仕事は、患者さん一人に向き合うだけでは完結しません。ドクターの治療方針を理解し、衛生士との連携を見渡し、チーム全体の動きの中で自分がどう動くのが最善かを判断する。その視座がなければ、どれだけカウンセリングスキルを磨いても、成果には構造的な限界が生まれます。

1人称の視座から3人称・4人称へ。
TCに求められるのは「チーム全体を見る目」。

視座が高い人は「遠くのビル」──つまり未来や全体像が見えるけれど、足元の細かいことは見えにくくなる。視座が低い人は「足元のゴミ」──目の前の問題には気づくけれど、先のことは見えない。だからこそTCは、院長には見えにくい現場の細部をフォローしながら、同時にチーム全体の流れも見渡せる存在を目指してほしい。河合はそう語りました。

状態設計とは?──カウンセリングは「何を話すか」ではなく「どんな状態を作るか」

後半の森愛の講座は、初診コンサルの実践に踏み込みました。「初診コンサルの目的は何ですか?」──この問いに対して、多くの受講者は「主訴を聞くこと」「医院の方針を伝えること」と答えます。森はそれを否定するのではなく、「それは手段であって目的ではない」と整理しました。

状態設計とは、カウンセリングの結果として患者さんに「どんな状態になっていてほしいか」を事前に描くことです。コンサルが終わったとき、患者さんが「この医院は今まで行ってきたところと全然違うな」「ちょっとしっかり通ってみようかな」と感じている──その状態を意図的に作ることこそが初診コンサルの目的だと森は語ります。森はこれを「種まき」と表現しました。最後にお花畑を作るための、最初の種まきが初診コンサルなのだと。

さらに森は、「作りたい状態」だけでは設計は不完全だと続けました。「作りたくない状態」──たとえば「ここは金儲けしているだけだ」「全然治してくれない」──こうしたネガティブな状態に患者さんが陥ることを防ぐ視点も必要です。森はそのために「ブレーカー」という独自の概念を導入し、患者さんの信頼が途切れるポイントをどう見極めるかを具体的に解説しました。

この「状態設計」の考え方は、まさにDay1で河合が原理として語った内容を、森が現場のプロセスと言葉に翻訳したものです。河合の講座で「なぜそう考えるのか」を理解し、森の講座で「では現場でどう動くのか」を体験する。この連動が、スクール全体の設計思想でもあります。

Day1とDay2で「理解の深さが変わった」──受講者の声

Day2のアンケートからは、Day1からの変化を実感する声が多く見られました。

VOICE

「目的のところにフォーカスを当てます」

「なってほしい状態」を目的として意識して、コンサルにチャレンジしていきたいと思いました。今まではフォーカスを当てるところをコンサル(行為)でしたが、目的のところにフォーカスを当てます。いかにドクターとの連携が大切か実感する内容で、ドクターとミーティングをしたくてたまらなくなりました。

小林 沙綺 さん

TC・受付・助手

別の受講者は、「視座の位置によって見えていることが違う。また視座が高くなると死角が生まれることも新たな気づきでした。自分の言動が医院の雰囲気にかかわる意識を常に持たなければと改めて思いました」と振り返っています。河合の「視座」の話が、自分の立ち位置を客観的に見直すきっかけになっていることが伝わってきます。

また、「状態設計を意識して、カウンセリングに入る。話すこと、やることに気が向きすぎていることに改めて気付いた」という声もありました。多くの受講者が、Day2を境に「何を話すか」から「どんな状態を作るか」へと意識の重心が移っていく様子がうかがえます。

2度目の参加となるある理事長からは、「繰り返し勉強させていただいていますが、触れる度に理解が深まり、ありがたく思っています。森さんのコンサル、カウンセリングを学びながら医院のシステムのアップデートを2年がかりで行っています」という声も寄せられました。1回聞いて終わりではなく、繰り返し触れることで理解の層が深まっていく。それもこのスクールの特徴のひとつです。

まとめ

Day2は、「原理の理解」から「自分の現場で考える」へと踏み出す1日です。自律と他律、視座の高さ、状態設計──これらは単なる知識ではなく、明日からの仕事の中で自分自身に問い続けるテーマです。Day1で生まれた「考え方の枠組み」が、Day2で一人ひとりの現場と結びつき始める。その転換の手応えを、受講者の言葉が物語っています。次回のDay3レポートでは、さらにロールプレイや他院との交流を通じた実践的な学びの様子をお伝えします。

FAQ

よくある質問

Q Day2はDay1を受講していないと理解できませんか?

Day2はDay1の内容を土台にして構成されています。Day1で学ぶ「サービスとホスピタリティの違い」や「分離と非分離」の概念がDay2の前提となるため、順を追って受講することでより深い理解につながります。

Q 「状態設計」はTC未経験者でも実践できますか?

はい。状態設計は「カウンセリング後に患者さんにどんな気持ちでいてほしいか」を事前に考えるという、思考の枠組みです。テクニックではなく考え方なので、経験の浅い方でもすぐに取り入れることができます。実際に、TC未経験で参加された受講者が「状態を意識してコンサルにチャレンジしたい」と前向きに語っていました。

Q 「自律」と「自分勝手」はどう違うのですか?

自律は「自分の意志で納得して動く」ことであり、他者を無視して好き勝手にすることではありません。むしろ相手の世界を配慮しながら、自分の判断と責任で関わっていく姿勢です。ホスピタリティの文脈では、自律とは「相手との関係の中で、自分で考えて行為すること」を意味します。

JDHA

JDHA 編集部日本歯科ホスピタリティ協会

ホスピタリティTC養成スクールの講座内容や、歯科医院の現場に役立つ情報を発信しています。

HOSPITALITY TC SCHOOL

ホスピタリティTC養成スクールのご案内

理論と実践の両方を学ぶ全5回の講座です。Day1の原理からDay2の実践へ、回を重ねるごとに理解が深まる構成になっています。「型」を超え、患者さんとの関係性を本質から変えたい方へ。

講座の詳細を見る →

※本記事はホスピタリティTCスクール第3期の講座内容をもとに編集部が再構成したものです。個々の医院の状況により成果は異なります。受講者の声は個人の感想であり、特定の効果を保証するものではありません。

高い視座から街並みを見渡すイメージ:白い地中海の街を俯瞰する風景

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